2009年09月01日

過去と現在がクロッシング



旧黒人街を大勢の人間が殆ど無言で移動して行きます。
後ろの灯りは銀天街のアーケード。
携帯の写真ですから暗いのは当然ですが、逆に、その夜のイベントの雰囲気がよく現れているような気がします。

二年前、同じ場所で行われたパフォーマンスは大好評。
今年はどういう展開になるか、歩きながらも緊張が高まっていきます。



舞台は、そこだけ取り壊されずに残っている廃墟の様な建物の一角。
ロウソクが二本灯されているだけ。
小さなカセットレコーダーの音楽にあわせて、紗葉さんが肉声で唄います。
暗い会場にその声が優しく流れていきます。
周りは住宅街ですが、その一角だけが別の世界のようです。

紗葉さんの独白。
Snowとの出会い、そして現在が、静かに語られていきます。
時には、それが唄になります。
マイクを通さない声は、それこそ肉体の一部だということを改めて感じさせてくれます。
演劇が肉体表現の一種だとすれば、唄もまたそうなのでしょう。
紗葉さんの唄は、静かで優しく、そして何処か乾いている様。
しかしそのなかに、強い意思、そして強い自己主張を感じます。

物語は現在ですが、しかし、この場所の記憶が、それのみに終わらしてくれません。
そこは旧黒人街です。
戦後のコザの歴史が詰まっている所。
ここを通り過ぎて行ったたくさんの人の数だけのドラマがあります。
僕らの世代、そして銀天街に今でも住んでいる人達にとっては、そのドラマの一端が思い浮かびます。
今では何処か懐かしさすら感じるそれです。

時として記憶は甦ってきます。
しかしそれは、懐かしさというだけでは済まされない重い時間です。

二年前もそうでしたが、今回の紗葉さんのパフォーマンスにも、過去と現在を繋ぐ時間が流れているような気がしました。
場所の持つ記憶の力。
ふだんは何気なく通り過ぎているその場所が、ある日突然、演劇空閑として輝きます。
それを思い起こさせてくれた紗葉さんのパフォーマンス。
暗い道を引き返して行く帰り道。
過去と現在の時間が奇妙に「クロッシング」しているような錯覚にとらわれました。
Posted by 漫遊国 at 12:33 | Comments(0) | TrackBack(0) | 銀天街

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